「マッスルでミュージカル?」深夜番組「ケインザマッスル」のスタッフに囲まれ、僕は聞き返した。初対面の四人の顔は、挑発的で少し青かった。
シルクドソレイユのようなサーカスはあっても、ミュージカルとうたっているものはない。
「マッスルミュージカルか!」口に出すと同時に、あんな景、こんな景と次々に絵が浮かんだ。
「面白いね!」四人の顔に赤みがさし、ニッと笑った。その時僕は土俵を越えて、新しいエンターテインメントの共犯者になった。
舞台を創りあげる過程をTVで楽しみ、生の舞台へ足を運び、おまけに短縮版舞台中継ありと、一粒で三度おいしい、テレビと舞台のコラボレーションだ。
あの日から二ヶ月半、僕は山中にはこもらなかったが、筋肉と格闘し、ついに中村流18の秘技を編み出した。テーマは筋肉、唄も台詞も物語もない、マッスルミュージカル。
世界に向けてのトライアウト、三倍楽しんで下さい。
中村龍史